海外FXと国内FXにおける税制上の違いは?

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FX(外国為替証拠金取引)は資産運用のひとつの手段ですから、利益が出て資産が増えることは当然考えられます。問題は「利益が出た場合に税金を納めなければならないの」「どのくらい納めなければならないのか」ということです。

 

今回は海外FXと国内FXの違いを確認しながら、税金に対してどのように対応しなければならないのかについてお伝えしていきます。

 

 

国内FXと海外FXの税制上の共通点

 雑所得扱いで納税はする必要がある

 

 

国内FXであれば国内で納税することに抵抗はないでしょうが、海外FXであれば国内で納税する必要があるのか疑問に思うかもしれません。これについては、日本に住んでいる限り、どこの国に所属するFX業者を利用しても国内で納税しなければなりません。(日本に住んでいない場合はまったく別の話になります。住んでいる国の税制度を確認してください)

 

FXでの利益は国内FXであっても、海外FXであっても雑所得扱いになり、決められた税率に従って納税する必要があります。2月中旬から3月中旬までの期間で確定申告することになるのです。

 

ただし、確定申告が必要になるのは、給与所得者(副業でFXをしている場合)で利益が20万円以上の場合、非給与所得者(専業トレーダー、無職の場合)で利益が38万円以上の場合に限ります。例えば1年間でトータル15万円ほど利益が出たのであれば、確定申告する必要がありません。

 

また、「含み益」については利益とは見なされません。例えば10万通貨のポジションを保有していて50万円の含み益に膨らんでいたとしても、決済して利益確定しない限り確定申告する必要はないのです。

 

確定申告時に必要経費を申告して節税ができる

 

 

確定申告をする際に最も重大なポイントになるのが「必要経費」です。仮にFXによる個人所得が50万円でも、必要経費30万円を差し引いて課税所得額を計算すると20万円の利益になります。50万円で申請するのと、20万円で申請するのでは税金の額も変わってきます。

 

つまり必要経費をしっかり申告することで節税になるのです。では、FXで必要経費とは何が当てはまるのでしょうか?

 

例えばFXについて精通するために有料のセミナーに参加したとします。この費用は必要経費として認められます。同様にFXの書籍を購入した場合も申請できます。領収書を保管して確定申告時に提出できるようにしておきましょう。

 

他にもPCの購入費用(10万円を超える場合は減価償却の対象になります)や、インターネット回線料金、VPSのサーバー料金なども必要経費に該当しますし、光熱費や家賃なども申請することは可能です(生活にも利用している場合は、あくまでもFXに関する費用になりますので対象は一部です。FX専属の部屋を借りている場合は問題ないでしょう)

 

ちなみにFXではスプレッドがFX業者に支払う手数料のようなものですが、これは必要経費として認められていません。

 

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海外FXの税制上の特徴

 総合課税である

 

 

国内FXは「申告分離課税」という扱いになりますので、どれだけ利益を出しても税率は一律で20.315%になります。50万円稼いでも、5,000万円稼いでも税率は変わらないということです。

 

海外FXも同じ感覚だと確定申告でミスが生じるので気を付けてください。海外FXは申告分離課税ではなく「総合課税」という扱いになりますので、税率は累進課税になります。つまり稼げば稼ぐほど税率が高くなる仕組みです。

 

課税所得額が195万円以下の場合、税率一律は15%です。控除はありません。330万円以下だと税率は20%となり、控除額が97,500円あります。実はFXの利益が420万円以下であれば、累進課税の方がお得なのです。納める税金は少なく抑えることができます。

 

695万円以下になると税率は30%となり、控除額は427,500円です。900万円以下で税率33%、控除額は636,000円、1800万円以下で税率43%、控除額は153,6000円、4000万円以下で税率50%、控除額は279,6000円、4000万円以上になると税率は一律55%で控除額は4796,000円です。

 

総合課税は会社の給与と合算して収入が決まりますので、海外FXの利益だけでは税率は決まりません。源泉徴収後の会社からの所得が500万円、海外FXの利益が500万円であればトータルで1000万円ですので、税率は43%ということになります。

 

海外FXで納める税金は、まずは「個人所得」-「必要経費」=「課税所得額」です。

会社の所得は会社が納税してくれているので、源泉徴収後の所得だけを確認し、該当する累進課税の税率で「課税所得額×税率」をした後、「控除額」を引き、「復興特別所得税」を加算します。これで納税額が確定です。

 

このように国内FXと海外FXでは税率が大きく変わってきますので、同じだと思って確定申告しないようにしてください。

 

損失繰越はできない

 

 

420万円以下の利益であれば海外FXの方が有利ですから、まずは国内FXよりも海外FXを利用していくべきでしょう。実際のところ海外FXは超ハイレバレッジなので420万円以上の利益になることは充分に考えられます。しかし、国内FXはレバレッジが25倍なので、海外FXほど稼ぐことはできません。結局多くの利益を得たいと考えるのであれば、累進課税でやや税率が高くなるものの、海外FXの方が適しているということです。

 

FXを始めたばかりのころは利益よりも損失の方が大きくなりがちです。収入がマイナスですから当然税金を納める必要はないのですが、国内FXの場合、確定申告することで損失を3年間繰り越しすることができます。

 

例えば1年目200万円の損失、2年目100万円の損失、3年目300万円の利益だった場合、トータルするとゼロになりますから納税額もゼロになります。これが損失繰越です。

 

海外FXの場合はこの損失繰越ができませんので注意してください。1年目200万円の損失、2年目100万円の損失、3年目300万円の利益だった場合、1年目・2年目の成果はまったく考慮されず、3年目の300万円の利益に対し純粋に課税されます。ここは海外FXのデメリットです。

 

国内FX、海外FXにはそれぞれ特徴があり、メリットでデメリットがあります。充分に理解したうえで最適な投資をしていくのがいいでしょう。どちらにしても必要経費が節税の大きな鍵を握っていますので、支出についてはしっかりと管理し、申告できる準備をして確定申告に臨みましょう。

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